第40章 コンビニエントフォーミー3
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「…お前って、割とバカだよな」
『酷いな、突然』
C組の寮のすぐそばで2つの影は一定の距離を保ったまま伸びていく。
その片方、心操に言われた言葉を心外だと唇を尖らせる寧々にむかって、心操は眠そげな目で呆れる。
「口付さ、俺の体育祭での緑谷との戦い見てないんだっけ」
『あ……うん』
心操が戦っていた時、爆豪に呼ばれていた寧々は
彼がどのようにして人を操るか、そして操られた人間がどうなるかわかっていないのだ。
「俺の洗脳は、少しの衝撃ですぐ解除される
机にぶつかった程度でだ」
『そうなの?』
「だから、口付が俺の個性をコピーしたところで
こんな地味な個性使いもんにはならねぇよ
あぁ、お前コピーうまく制御できないって言ってたな」
入学してすぐの自己紹介で言った個性紹介を信じているクラスメイトは誰一人【キスミー】については知らない。
はずなのだが
「でもそれ、表向きには…だろ?」
心操が続けた言葉に、寧々はゆっくりと首を傾ける
『え…?』
「お前は秘密を隠してる。
見ればわかる。」
心操の紫がかった灰色の三白眼が、寧々を捉えて離さない。
寧々は、なんで、と声にならない声で呟いて、一歩後退した
「教えろ、お前の本当の個性はなんだ?」
『コピー、、、だよ?
物間寧人の双子なんだから、私』
ギクシャク笑って答える寧々に、心操は口角を釣り上げ歯を見せて笑った。
「俺に返事したな」と