第39章 コンビニエントフォーミー2
当然、寧々の個性は【洗脳】などではないし
爆豪も現時点、2年前に戻っている個性以外にはかかっていない。
何を言っているのかわからず首をひねる寧々に
イラついたように爆豪は歯茎まで見せて怒鳴る。
「だから、今俺にかけてる【洗脳】解きやがれ
いつかけたんか知らねぇが
厄介なんだよ!
お前の事、半分野郎にやりたくねぇとか
お前がアイツと一緒にいるとイライラすんのとか…
こういう感情は全部、俺は…一人の女にしか向けねぇって決めてんだ
だから早く解除しろ!」
その後2秒、寧々は全く息も出来ずに固まってしまうが
その言葉の意味を理解して、みるみるうちに赤くなった。
そして、爆豪の腕を振りほどくと
脱兎のごとく走り去り、
「おい!待て洗脳女!」
と叫ぶ爆豪を巻いて、入り組んだ校内に身を潜めた。
雄英高校にまだ初日の爆豪勝己(13)を巻くことなど容易く、
足音のしなくなった多目的室でズルズルと壁沿いに床にへたり込む
『つまり…え…どういうこと…?』
爆豪くんは個性にかかってなくて、でもかかってるって思ってて…
その個性は洗脳で、でも、洗脳なんて使えないし
解除もできないし、え?爆豪くんは何の個性に…?
パンクしそうな頭に合わせて、鼓動は脈を早めていく。
まるで脳みそに、「しっかりしろ」と酸素を送り込むように。
しばらく赤くなったり青くなったりした寧々
なぜか、心操に相談した方が良いんじゃないかと思い始めた。
(よくわからないけれど…洗脳のことなら心操くんだよね)
餅は餅屋、とトンチンカンな論理で両拳をつくる。
そしてこの、トンチンカン女はそろそろとドアを開け、周りに爆豪がいないことを確認し、教室に戻った。