第39章 コンビニエントフォーミー2
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部屋に戻ってきた寧々は
ドアを閉めた途端ボロボロ声もなく泣き始めた。
「ど、どうした」
抱きしめると、座り込んで何も言わずに泣き続ける。
最後には声を上げて子供のように泣き
そのまま疲れてしまったのか眠り始めた。
赤くなった目尻に、苦しくなって
元凶であろう男の部屋に殴り込んでやろうかと
立ち上がったが
ドアを開ける前に正気に戻る。
「なんで俺、怒ってんだ?」
寧々がこんなに泣いてんだ。
傷つくことを言われたに違いない。
その事は可哀想だと思うけれど、怒る理由はないだろう。
寧々が傷つけば傷つくほど
その心は爆豪から離れて俺のものになる。
「…最低だな、俺は」
ドアノブから離れた手に、己の小ささを感じたけれど
そのまま、寧々の隣に横になると
その体を抱きしめた。
寧々は小さく息を吐き目をそろそろと開く。
『ごめん…私…寝てた?』
泣きすぎたせいで、声が少し掠れている。
「大丈夫だ、寝ていい」
そう言ったけれど、寧々は首を横に振って口を開く
『…あのね、焦凍』
「ん?」
『私…勝己と、サヨナラするよ』
轟は倒したばかりの体を起こし、寧々を マジマジと見つめた。
『焦凍がね、言う通りだった
勝己が私に執着してたのは、私があの時の女の子だったからだ
私の【個性】がキスミーだから…私だって気づいて、付き合おうって言われただけだった』
切り立ての傷口に自分で塩を塗り込んでいく
『私のことなんて、好きになるはずない…
分かってたけど……
やっぱり、言われちゃうと傷つくね』
「……」
『でも私も勝己の気持ち分かるんだ
最初はね、たぶん私焦凍の方が好きだったの』
衝撃的な告白に轟の手が震えた。
「最初…?」
『うん、多分一目惚れだったんじゃないかなぁ
焦凍が、運命の男の子だったらなって思ったから』
昔話をするように、寧々は話を続ける。