第39章 コンビニエントフォーミー2
「テメェなんか…好きになるはずねぇ」
苦痛げに顔を歪め、唸る爆豪に
同意したのは寧々だった。
『うん、そうだよね』
まさかの返答に驚き顔を上げると
寧々はヘラっと笑って肩を竦めた
『勝己はすごいよ
入試も一位で通過して、体育祭も一位で…
何でもできるし、頭いいし…かっこいいし
本当に、爆豪くんの言う通り
私なんか好きになるはずがないんだよね』
「……って言っても二年後の俺は
お前のことが好きなんだろ?」
自分で罵倒しておきながら、寧々の場違いな笑顔に胸が痛んだ爆豪。
寧々は、んーーと考えた後首を横に振った。
『確かに、好きって言ってくれてたし
私も好きだった
でも、それはきっとわたしの【個性】のせいなんだなって
爆豪くんと話して再確認したから…
大丈夫だよ、爆豪くんが勝己に戻ったらちゃんと別れるから』
語尾は少し震えているが、やはり表には終始笑顔を見せる。
その笑顔にジクジクと胸が痛んだ。
「……」
『じゃあ…えっと、私戻るね』
逃げるように部屋を出ていった寧々の後ろ姿
「ハッ…なんだ、簡単じゃねぇか」
これで2年後の俺の平穏も保たれる。
(あんなモブ相手にしてねぇで、ちゃんとあん時の女を探せや)
ボスン!とベッドに横になると
見慣れない天井を凝視した。
「せいせいしただろ、これで」
返事を求めない独り言をごちるが、
モヤモヤは取れない。
さっきの女の、泣くのを我慢するような表情を
思い出すたびに苦しくなる。
乱暴に学ランを脱ぎ捨て
深く布団を頭までかぶり無理やり眠りについた。