第39章 コンビニエントフォーミー2
ノック音にドアを開けると、爆豪がいた
少し身長が下の恋敵を見下ろすと
「おい、見下してんじゃねぇぞ」と背伸びして今度は見下して来る。
「なんか用か?」
「てめぇに用はねぇ
…あの女、ここに居んだろ
出せ」
「寧々は物じゃねぇ
言葉を選べ、爆豪」
「あ?」
初期に2人がライバル関係であった時のようにピリピリとした雰囲気が充満する中、寧々は焦ったように2人の間に入ってそれを止めた。
『焦凍
爆豪くんは何も知らないんだから突っかからないで
ごめんね、私に何か用かな?』
不服げな轟を室内に押し込んで、ドアの前に立つ寧々
爆豪はムスッとした表情のまま
視線をそらす。
罵倒する事でしか女生徒と話したことのない爆豪勝己(13)はなんと口を開いていいかわからず一瞬惑った。
だが、目の前で女の見せる笑顔は、先程自分の部屋で見つけた写真の中と同じもの。
その事に、湧き上がってくる未来の自分に対する苛立ちの矛先は
理不尽にも寧々に向けられた。
「…お前の何が俺にあそこまでさせたか
確かめさせろ」
『え!?勝己!?』
むんずと掴まれた腕を引かれると
ズルズル引きずって廊下を進む。
連れてこられた爆豪の部屋で
胸元に押し付けられるように渡されたのは
職業訓練の時撮影した写真だ。
『これ…』
「何で俺がテメェなんぞの写真持ってんだ」
『あー…何でだろう…
でも、これ枕の下に挟んでたよね?』
首を傾げて聞くと、爆豪の顔はカッ!と火をつけたように赤くなった
「な、な!んで!テメェがんなこと知ってんだよ」
『いや…前たまたま見つけて』
「俺の部屋に勝手に入ったんか」
『え!ちがうよ
泊まった時にたまたま』
「泊まっ!!?!」
会話をするたびに良くない方向に向かって行く
爆豪はワナワナと肩を震わせて寧々を睨みつけた。