第38章 コンビニエントフォーミー
何度か瞬きをしてはみたけれど、寧々の目の前にいるのは
ひとふた回り小さくなった爆豪
『なんで、学ランなの?』
緑谷と同じ質問に首を傾げる寧々だったが
轟に同じように個性事故と御都合主義の説明を受けて、さらに首の角度を傾げる。
「ぉぃ…おい!!」
無視され続けた爆豪は鬱憤の溜まった表情で緑谷を睨みつけた
「このモブ女誰だよ」
「え?分かんないの!?」
「わかんねぇのか?」
爆豪の問いに、緑谷と轟と2人の声がハモり
その後ろで寧々は眉を垂れ下げ困ったように笑った。
爆豪が寧々の事を、ずっと探していた女だと気付いたのは会ってしばらくしてからの事だ。気付かなくても仕方がない。
「だから、わかんねぇって言ってんだろうが
誰なんだよ、その半分頭とモブ女」
いつもの爆豪の物より荒々しい声で唸る。
「俺は、お前と寧々を奪い合ってる」
「『はぁ!?』」
寧々をぐっと引き寄せ、抱きしめるようにそう伝えると
寧々と爆豪は轟を見つめ口を開けた
「いや、轟くんん!?」
「なんだ、緑谷。本当のことだろ?」
「いや…そう、そうなんだけどぉ!もっと他に言い方あったよね!?」
轟は何が悪いのか分からないと言った表情を緑谷に向ける。
「そのモブ女が、2年後の俺の彼女だっていうんか」
爆豪は納得いってなさそうに寧々を睨み付けると
寧々も困ったように
『彼女……なのかな?んー』と答えたのだが
「彼女じゃねぇだろ」
轟は寧々の言葉に被せるように否定して
爆豪を睨みつける。