第38章 コンビニエントフォーミー
「わかったぞ、テメェらヴィランだな」
(なんでそうなるんだ)
緑谷は、地蔵のような顔つきで、見下ろすように顎を上げる爆豪を見つめる。
「クソ無個性のデクが雄英に入ってるわけがねぇ
催眠系のヴィランかなんかだろ…どっからでもかかってこいや」
ボボボボボ!と両手から爆発が起きる。
緑谷は両手をブンブン振りながら、
「ま、待って!かっちゃん!説明すればわかるから!」と叫んだ。
「あ、そうだ
轟くん!口付さん呼んでよ!」
「寧々を?」
「そうだよ、さすがに顔見たらわかってくれるって
だってほら口付さんとかっちゃんって…」
緑谷がそっと耳打ちした言葉に、轟は少し怪訝な顔をしたが、
スマホを取り出して耳に押し当てた。
何度かポコポコと電子音が響いた後、寧々が電話を取った。
『ど、どうしたの?焦凍』
焦ったような声を出す寧々
轟は緑谷の視線に急かされるように口を開く
「爆豪がやべぇことになった、保健室に来てくれねぇか?」
『え…うそ、わかった!すぐ行く』
ブッ!と音がして電話が切れて
室内にツーツーと、スマホから溢れる音が響いた
今にも襲いかかってきそうな爆豪は「今のなんだよ」と轟を睨みつけた。
「寧々を呼んだ」
「あ゛?誰だよ」
その答えに返事するよりも早く、パタパタとかける音がして
寧々がコケそうになりながら保健室に入ってきた。