第38章 コンビニエントフォーミー
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「かっちゃんが!?」
息を切らせた轟に、突然腕を引っ張られ
「歩きながら説明する…」と緑谷に告げられた内容は衝撃的なものだった。
【プレイバック】の個性発動条件にあった時間は約20分
つまり、2年分若返った爆豪は中学二年生まで、記憶と体を戻した形になっている。
「あの頃のかっちゃんかぁ…うわぁ…嫌だなぁ」
緑谷は、傷口を抉られるような気持ちになりながら轟と廊下を進んだ。
そして、保健室の扉の前で大きく深呼吸をすると
「いいか?」と聞いてくる轟に頷きかけ
いつもより重く感じる扉を開けた。
「…なんで、学ランなの?」
中学二年生まで巻き戻った爆豪勝己を見た
緑谷の第一声はそれだった
「知らねぇ、都合がいいからだって言ってた」
「誰が!?」
頭が痛そうに顔をしかめる緑谷を見て
目を見開く中学二年生の爆豪
「…な…な、てめぇ…デク」
「あー…かっちゃん…うわぁ、学ランだとますます…怖いね
大丈夫?えっと、驚かないでね?ここはえっと、雄英高校!
で、君は今二年後に来てることになってて…えっと、僕と君はたまたま同じクラスで…うわ何から説明したらいいんだろう」
ワタワタと説明しようとする緑谷に、爆豪はベッドから飛び降り
胸ぐらをつかみ壁に押し付ける
二年分の体格差で、爆豪と緑谷の視線の高さはほぼ同じだ。
「んで、てめぇがァ!雄英に入ってんだよ!
しかも、なんだよ…この、、、スーツは…」
爆豪は、なんとも形容詞辛い顔で、緑谷のヒーローコスチューム姿を睨みつける。
「無個性のてめぇが、なんでっ…!」
敗れそうなほど掴まれた緑色のジャンプスーツがギリギリ音を立てる。
「おい、爆豪落ち着け」
轟が仲介に入ろうとするが、
「あ?てめぇ誰だよ!
めでてぇ頭の色しやがって!消えろモブが!」
と噛み付くように怒鳴られた。