第3章 キャッチミー
疑問を残して、体育祭の開始アナウンスが流れ
1-A組から入場していく
目の前をA組が通過して
勝己くんがチラッと私を見て出口に向かった
焦凍くんはこっそり手を振ってくれて
私の友達の女子から黄色い声が上がる
「いいなー」とか「羨ましい」とか言われると
赤面してしまう
続いてB組の入場で、お兄ちゃんが満面の笑みで大きく手を振ってきた
『お兄ちゃんがんばれー』っと口パクで言うと
「まかせて」とガッツポーズを返してくれる
私はすぐリタイアしてしまうと思うから、観客席から応援しよう
と思いながら入場した
大きすぎるスタジアムで私は萎縮してしまう
でも紹介は「続いて普通科ー」と流されてしまい
「普通科はオマケかよ」
とクラスメイトがブツブツ不平をもらしている
個性を発揮したい人からしたら、
ヒーロー科に入りたいのが常なんだろうな
開会式の言葉が済み、選手宣誓をする生徒名が挙げられた
「1-A組、爆豪勝己」
(え!!!勝己くん!?)
「あいつ入学試験一位通過らしいぞ」
「ヒーロー科のな」
まわりからそんな声が聞こえる
(勝己くん…すごい人なんだ…)
ステージに上がる勝己くん
「センセー」
勝己くんが口を開く
「俺が一位になる」
『え?』
一瞬の間があって、大ブーイング
なにか不穏なジェスチャーで言っているけど、聞こえない
そして、ステージ上の勝己くんが私を見た
ゆっくりと指で指して
大きなモニターに私の顔が映される
『え?ぇえ!?』
勝己くんはニヤッとわらって
満足そうにステージから降りていった
「おおっと!?あの美少女は誰だァ!?
1位をお前に捧げる的なヤツかぁ!?青春だねぇ!」
場内アナウンスが煽る
大きなモニターには私のアホみたいに赤くなった顔が映ってるし
最悪だーーーー
カメラのフラッシュがこちらを向いて光ってる
悪目立ちだよぉ
ガックリと肩を落とした
そんな中、第一種目が発表される
「障害物競走!」
スタートの掛け声と共に、一斉にみんな走り出して
友達のゆきは個性で体を伸ばして
「おさき!」といって走っていった
さきちゃんと私は運動向きの個性じゃないから
大きく遅れをとって走り出す
「あはは、なんか凄いね」
『だね、私は一次通過絶対無理だな』