第34章 ゲットミー
さきの願いとは反して
寧々はさらなる深みにハマっていた
向かい合って口づけをする相手は爆豪勝己
『ん…』
また昨日の例の如く、寧々から誘って今の状態になっている
爆豪は何かを感じたのか、
ぐっと寧々の肩を押して体を離した
一瞬、欲に飲まれそうになったけれど
確実におかしい
『…どうかしたの?』
寧々はコテンと首を傾げて爆豪を見上げる
「いや、お前の方こそどうかしたんか」
『……別に
どうもしてないよ?』
なんだか心の中を見透かされたような気がして
寧々は爆豪の瞳から逃れるように目を背けた
が、顎を掴まれて無理やり目を合わされる
「嘘つけ」
『……』
寧々は困った顔をして、爆豪の瞳を見つめたが
諦めたようにため息を吐いて
ベッドに座り、膝を抱えた
爆豪もその隣に座り、話を聞く姿勢になる
『…別に、何もないよ?
ただ…』
寧々の言葉が止まり
下唇をキュッと噛む
ハラハラとこぼれ落ちた髪の束で
横顔は半分しか見えないが、
その先に見える長い睫毛は憂いを帯びている
『ただ、認めようって思ったの
私は、勝己が好き…
誰にも渡したくない
でも…「ちょっと待て」
そこまで言ったところで、爆豪は寧々の言葉を止めた
横を見ると、顔を赤くした爆豪がこちらを見つめている
「…その後は、今は言うな」
『え、でも…』
「いいから言うな
いい気分が台無しになんだろうが」
爆豪は、寧々を押し倒すと
じっと彼女のことを見つめた
今までに稀に見る機嫌の良さに、寧々は首をひねる
『ねぇ、そんなに嬉しいこと言ったかな』
「言っただろ」
寧々からしてみたら、最低最悪の発言だ
思わせぶりな言葉の連発
それでも、目の前の男は嬉しそうに片口角を上げ笑う
重ねられた唇も、優しくて
(まぁ…喜んでくれたならいいか)
厚い胸板に抱かれながら
目を閉じた