第33章 トラップミー
眠ったような眠ってないような
重苦しい朝を迎えて、寧々は轟の部屋に居ればよかったと後悔した
一人きりの朝は、やけに寂しい
あのまま抱きしめられて眠っていたら、
焦凍にとって自分は必要なんだと思えただろうに
昨日のアラタの言葉が一夜で頭にこびりついてしまったみたいに離れない
スマホを開くと、焦凍から連絡が来ていた
轟【どこにいるんだ?】
朝起きたら私がいなくて驚いたのだろう。
「ごめん、お風呂入りたくて昨日の夜帰ったの」
と返信を返して、シャワールームに向かう
轟【そうか、起きたらいねぇから驚いた】
ポコン、と音を立てたスマートフォンをポケットに滑らせる
ゆっくりと流れていくお湯に彼の残りが私の中から消えていく
いつもそうだ
抱かれた後に流して、また抱かれて
また流して
そんな繰り返しをどれくらい続けただろう
でも結局私は誰のものにもなりきれていない
縛られているのは私なのか、
それとも彼らなのか
いつのまにか、そんなことも分からなくなってしまっていた
正しい愛って何なのだろう
少なくとも二人の男と性行為を続けることでは無いはずだ
「俺にしなよ」
脳内で、
アラタの声がハッキリ聞こえた気がして
目を開いた
『お似合いのカップル…か』
そういえば、アラタと付き合ってた時は
確かに周りからそう言われていた
アラタの取り巻きも、特にやっかんでくることは無かった
やっぱり私が
二人に不釣り合いだから
ラムさんだって怒ったんだと思う
例えば相手が八百万さんや麗日さんなら
だれも文句は言わないだろう
ダメだ…二人と向き合うって決めたのに
誰か私を抱きしめてほしい
そうしたら、自分の心を誤魔化してしまえるのに