第32章 カースミー
モヤモヤとした気持ちのまま午後の授業を受けて
放課後約束していたリカバリーガールの所へ向かった
記憶が戻ってからも経過を見るためにこうして時々診察をしてもらっている
「うん、特に問題なしだね」
『ありがとうございます』
検診とカウンセリングを受けた後、リカバリーガールは暖かいお茶を入れて出してくれた
『いただきます』
ゆっくりと上がっていく湯気にふうふうと息を吹きかけて冷ましていると
リカバリーガールが世間話をするみたいなトーンで話を切り出してくる。
「あんたに、ヒーロー科の転入のはなしがでているんだけどね」
あまりに普通のトーンで話してくるものだから
最初は『へぇ…』と相槌をうって
『はい!?え!?』
あまりの内容に驚いてお茶をこぼしてしまった
「あーあ、大丈夫かい?火傷は?」
『あ、大丈夫…です
床にこぼしただけなので』
ティッシュを受け取り濡れた床を拭く
ヒーロー科?私が?なんで?
頭に浮かぶ様々なクエスチョン
リカバリーガールは私が落ち着くまで話の続きを待ってくれているけれど
なかなか思考がまとまらない
『…それは
どうしてですか?』
「校長からね
私から切り出すように言われたんだよ
物間寧人より強い個性、まぁ、ヒーロー科に入れない理由はないさね」
『……』
寧々は、それもそうか
と唾を飲み込む
確かに自分は、恥ずかしい云々を別にすればなかなかに強い個性だ
けれど
『お断り…させてください』
悩む間も無く、寧々は丁寧に頭を下げた