第31章 ハッシュミー
いったん各々の寮に戻った後
爆豪は寧々の部屋に向かった
軽いノック音を鳴らせば開く部屋に
吸い寄せられるように入るとすぐにその細い体を抱きしめた
『勝己?』
覆いかぶさるような抱きつき方に、ほんの少しだけ違和感を感じて呼びかけると
「ん…」
と短い返事だけが返ってくる
よっぽど講習が疲れたのだろうか、
つんつんした髪を撫でると犬のようにすり付いてきた
鼻先が頬をくすぐる
額と額を合わせると、勝己が大きくため息を吐いた
「また、厄介なの増やしてんじゃねぇ」
『アラタのこと?』
「……」
『アラタは本当に、勝己が思ってるような関係じゃないから』
爆豪は眉をひそめる
この女は本気でそう思ってるのだからタチが悪い
「鈍感女」
『ふふ…久しぶりに言われた』
クスクスと笑う寧々に唇を重ねると
笑い声が止まる
「抱かせろ、鈍感女」
『ちゃんと名前で呼んでくれたら…いいよ』
顔を離すと、少し照れたように笑う寧々
愛しくて強く抱きしめ
「寧々」
と、彼女以外誰も聞いたことのないような
優しい声で名前を呼んだ
『…ん』
「寧々…」
喉を鳴らすような声で
何度も呼ばれる
その度に、頭の中を溶かされるように気持ちがいい
『かつき…』
勝己も…私に呼ばれて
同じように気持ちよくなってくれたらいいのに
また少しごつくなった指先が、
直接腰を撫でる
へその当たりに何本か指をあてて、
焦らすようにゆっくり服の中に侵入してくる
『あ…♡やぁ…』
溢れる声に、爆豪は満足そうに笑った
「まだ腹しか触ってねぇぞ」
『んん…♡だって…』