第30章 ミーンミー
なぜこの完璧王子が私なんぞに執着するかというと、答えは明確だ
【自分に興味のない女に興味がある】
ただそれだけの事
アラタと出会ったのは、小学校に入学した6歳の時
その時には私の心の中にはもう、勝己が居た
アラタは同級生の女子全員の初恋だ。
恋というものの代名詞と言ってもいい彼に
唯一興味を示さなかったのが私
彼はそれが気に食わなくて
何かとあれば私に絡んできた。
そのうち面食いの母に取り入り、寧人も私も大して仲が良くないのに
こうして泊まりに来たり、一緒に遊園地に行ったり
一番厄介なのは
アラタが嫌な奴じゃない事だ
色んなことをズバズバいう性格ではあるけれど
そのどれも、別に悪意があるわけじゃない。
強い個性の癖に奢らない、ひけらかさない
相手が誰でも基本的に女子男子平等に接するから
男の友達も多い
その場に居るだけで、雰囲気が明るくなる
そんな男だから、私達兄妹もそこまで突っぱねれない
部屋に戻ると、案の定
ベッドの上に、アラタからだろう
大量のお土産が積まれている
アラタは人を楽しませたり喜ばせるための
プレゼントやサプライズが大好きだ
手に取ると、私の好きそうなものばかり
本当によくわかると思う
たくさんのBOXチョコレート、紅茶、ジャム
可愛いボトルに入ったヘアケア商品
香水にルームウェア
どこから知ったのか知らないけれど、サイズがピッタリのかわいい下着のセットまで
そのプレゼントの山の上に置かれた花束と、メッセージカード
《どれだけ素敵なものを贈っても
寧々の引き立て役にしかならないな
いつか本当に姫に見合う物を贈るよ》
誰もがとろけそうなセリフにも寧々は「うへぇ…」と顔をしかめる
とはいえ、プレゼントは嬉しいし、お礼はしたい
と思って居ると
ドアのノック音が聞こえた