第29章 イートミー
「あいつらより、俺の方が寧々の事
ずっと長い間好きだったのに…」
(お兄ちゃん…?何を言ってるの…?)
兄が特別優しいことは知っていた
わたしたち双子は、髪色も目の色も違うから
中学の頃は2人で歩いているとよく恋人同士に間違えられたし
兄も私もいちいち説明が面倒で、恋人と言われても許諾していた。
スキンシップも年ごろの兄妹の度を超えているだろう
けれど、ベタベタされる程度
ハグして寝ることはあっても唇にキスなんて小学生以来していないのだから、許容範囲のはずだ
けれど、目の前の兄が、今からしようとしていることは
その許容範囲を優に超えることだろう。
「わぁ…ねぇ、何個つけられてんの…鎖骨まで全部…
もしかして、全身?」
第二ボタンまで外れたところで手が止まり
兄は苦しそうに表情を歪めた
寧々もまた、恐怖に瞳が揺れる
それを見た物間は優しく頬を撫でて笑った
「なんて顔してんの?
大丈夫、襲ったりしないよ?」
『へ……?』
「兄妹だもん、寧々のこと好きだけど
性的な目ではそんなに見てないから
ただ、やっぱり血は繋がってない方が嬉しかったかな…
ごめん、兄ちゃん怒りで取り乱した」
寧々のボタンをプチプチと治して
苦笑いをする兄
寧々は拍子抜けしたような顔をしたが
ホッと胸をなでおろした
(そりゃそうだよね…お兄ちゃんがそんなことするわけないか)
「でも、俺がどれくらい怒ってるかは分かってくれた?」
『う…
はい…ごめんなさい』
「ならよし」
お兄ちゃんに両手を引っ張られて起き上がる
そのあとよしよしと頭を撫でてお兄ちゃんはいつもの通りに笑ってくれた