第27章 サプライズミー
「……え、夫婦?」
昼の食堂で
勝己が部屋に来てからのやり取りをさきちゃんに話すと、
そういう返事が返ってきた
というのも、今朝、寮の廊下で勝己に出くわしたらしく
「白状しろ」と脅されたのだ、私のハンバーグを人質に
「ほんとに何もしてないの?」
『え、うん』
私は、守り抜いたハンバーグを口に運びながら答える
「二人で一晩一緒で?」
『うん、
ていうか、記憶喪失になる前までは
勝己とは…その……ちゅーしかしてないし//
何もしないで過ごすことの方が多いんだよ?///
最近は、その…なんかおかしかっただけで…』
みるみる赤くなって俯く寧々
語尾は尻すぼみしてほぼ聞こえない
「へぇー
そんなもん?」
「いや…うーん…昼からする話じゃないけど
私は会える時はしてるかな」
『ねぇ、本当にこの話辞めない?』
両手で顔を隠しているが、寧々は耳まで赤い
下ネタオールオッケーなさきは
え?なんで?普通じゃない?と首をひねる
寧々も、別に全然ダメというわけではないのだが、
さすがに人のごった返す昼間の食堂はやめていただきたい
少し遠くの方に、八百万さんたちが見える
けれど、麗日さんと、梅雨ちゃんの姿は見えない
前に言っていたインターンに行っているのだろうか
切島くんにも、長いこと会っていない気がする
記憶が戻ったのも、真実を知れたのも彼のお陰なのに
きちんとしたお礼も言えてないままだ
勝己と焦凍の話からすれば、
切島くんは二人との関係を私に露呈した事で
相当に自分を責めていたという
むしろ責められるべきは私なのに…
難儀な話だ
食べ終わった食器を戻す
もし、次会えたらちゃんとお礼を言わなくちゃ
ゆきとさきちゃんと話しながら
心はそんな、別のことを考えていた