第27章 サプライズミー
またウトウトしはじめた寧々の頭を誰かが撫でている
誰か、といっても
そんなことをするのはこの部屋の中で一人だけなのだが
そのまま布団をかけ直して
出て行こうとする、彼の名前を名前は引き止めるように呼ぶ
『勝己…』
「……起こしたか」
『いや、半分起きてたから』
ベッドに横になったまま視線だけを爆豪に向けると
へにゃりと締りのない顔で笑う
爆豪はドアノブにかけていた手を離し
ベッドに近づくと
膝と手を付いて、寧々の額に触れるだけのキスをした
『…次は?』
「ん?」
『次はいつ来る…?』
「仮免講習の前の日以外なら」
頭元のカレンダーを見ると
今日は木曜日だった
「今日の夜、来いってなら来る」
珍しく素直じゃない物言いをする爆豪を
見上げながら
『来たいって言うなら、来させてあげてもいいよ』
といたずらっ子のように口元を布団で隠して笑いながら言うと
爆豪は「言うようになったじゃねぇか」と不貞腐れたように寧々を睨む
『うそうそ、ごめん
うん…来て欲しい』
布団から出ている目だけが細く笑う
爆豪は一瞬、拍子抜けしたような表情になったが
ガシガシ、自分の頭を乱暴にかくと
「しかたねぇな」と呟き
すぐにベッドから離れ、部屋を出ていった
一人になった寧々はしばし、噛みしめるように
さっきのやり取りを布団の中で思い返して
クスクスと笑い
学校へ行く準備をしようと起き上がった