第27章 サプライズミー
背中にかかる温かさに目を覚ました
ゆっくりと体をひねると、私を抱きしめるように眠る勝己
いつの間に寝てしまったのだろう
けれど、暖かい
勝己は人より体温が高いと思う
もう少し寝ていたかったけれど、なんとなく
勝己の寝顔を眺めてしまう
この人は、こんなに弱かっただろうか
記憶の中の彼は、唯我独尊という言葉の似合う少年だった
出会った時には、それも少しだけ緩和されていたような気がするけれど
いつからだろう
彼がこんなに弱々しく見えるようになったのは…
記憶が戻って、色々と混乱した日々が続いていた
焦凍と向き合えたのだって
昨日が初めてで
半年以上、私は自分のことしか考えてなかったのかと思うと
つくづく嫌になる
今までずっと、
引っ張ってくれそうだから、
付いていきたいと思ったからという理由で
記憶の中の男の子を求めていたのかもしれない
今この目の前にいる青年には
確かに、人一倍の強さと、信念…そして、人を導く力があると思う
けれど彼の持っているそれは、私が長年、心の支えに…いや、依存していたモノより
ずっと不確かなものだ
それでも尚、私は彼の元を離れれないでいる
つまり…もう、記憶の中の男の子じゃなくて
目の前にいる、彼…爆豪勝己そのものを
私は好きになっているって事なのかもしれない
最初付き合った時、勝己の事を
運命の男の子だから好きだと思っていた
けれど、触れ合えば触れ合うほど
抱き合えば抱き合うほど
彼の中の弱さ、脆さを見つけてしまって
今はそれさえも、愛しいと思っている
ヒーローになる人はみんな
お兄ちゃんみたいな人がなると思ってた
飄々としていて、自分に自信満々で…
でも、焦凍も勝己も…
こんな強さを持ってしても、弱さを持っている
麗日さんだって、八百万さんだって、切島くんだって
それは、関わったみんなに言えることだった
私は何に期待して、ヒーローを目指す少年に縋っていたのだろう
彼だって、一人の人間なのに