第26章 アライブトゥーミー
赤く染まる頬を隠そうと、顔の前に出した右手を掴むと
自分の胸元にそっと当てる
「…そう思ってくれてんなら
もっとちゃんと見ろ」
そのセリフに、寧々はショートしたかのように
ぷしゅーー…と湯気を立ててフラついた
『う…無理、心臓がもたない…』
ギュッと目を瞑って回れ右して逃げようとする寧々の手を引いてエレベーターに乗りこむ
ゆっくりと階が上がっていく小さな空間の中で、
轟は、はやる気持ちを抑えられずに
寧々の唇を奪った
そして、ドアが開くなり
足早に部屋に引っ張ると、
寧々も何も言わずに付いてきてくれる
というのに、部屋に来た途端
あまりに照れる寧々が可愛すぎて何も出来ずにただ向き合って棒立ちになってしまった
『あ…あの…焦凍……』
何もしてこない俺を不審に思ったのか、
寧々がおずおずと視線をあげる
『ごめん、個性、制御…できないから
キス…して欲しい』
消え入りそうな声で呟く寧々の左側に
若干の火種が生まれては、消えている
さっきのキスで個性が移ってしまったようだ
「…悪ぃ」
小さな顎を掴んで、唇を合わせる
寧々の胸の前で小さく握っていた両手が震えた
口付けをしてからは、もう
止めることができない
徐々に深くなっていく口付けに
寧々は息が苦しそうに眉をしかめる
フラ付きそうになる寧々の腰を掴んで支え
布団に横にすると
ポプっと軽い音を立てて横になる寧々は
まるで人形のようだった
潤んで俺を見上げる瞳は濃い飴色
ガラスで出来ているかのように澄んで綺麗だ
初めて、会った時から
この瞳の虜になっていたのだろう
床に手をついて、覆いかぶさるような体制になる
その状態で見下ろされている寧々は
バグバクさっきから鳴り響いている心臓の音をどうにか抑えようとしていた