第26章 アライブトゥーミー
目が覚めると、勝己はもう起きていて目が合った
『おはよ』
「ん」
軽くキスを二回する
時計は6時を指している
丁度いい、部屋に戻ってシャワーを浴びてから学校に行けそうだ
体を起こして、下着をつけ
服を着ようとしたのだが…
『勝己!もーこれ着れないじゃん!』
昨日の行為で胸の先端部分だけ汚れてしまっているセーターを
勝己に突きつける
「洗えば取れんだろ
部屋まではこれ着とけ」
タンスを漁って投げるように渡されたのは、
大きめの黒いTシャツ
『……勝己のTシャツセンスって独特だよね』
広げてしばし眺めたあとに
袖を通しながら呟く
なんなんだろうAJI FRYって…
「別に普通だろ」
そう言いながら「さみぃから、これも着ろ」と渡されたブルゾンを羽織る
「行くぞ」
ブルゾンが大きいせいで、第二関節までしか出ていない指を握られ、1-Cの寮まで歩く
寮の前に付くと
私の頭をワシワシと撫でて、自分の寮に戻っていってしまった
なるべく足音を立てないように廊下を歩く
隣の部屋のさきちゃんが部屋から出てきた
さきちゃんの個性は「地獄耳」らしい
耳をすませれば、100m範囲内の微細な音が聞こえるんだそうだ
「おはよ、寧々」
『おはよう…ごめん、起こしちゃった?』
ごめんね、と両手を合わせると
「ううん、もう起きてたから」と読みかけの本を持ち上げて見せてくれる
「…なんか、珍しい服着てるね」
私、今勝己のアジフライTシャツを着てるんだっけ…
「誰の服か気になるところではありますが〜
ま、廊下じゃ何だし
後で詳しく聞かせてよ!」
『うん、また後でね』
ひらひらーと手を振ってドアが閉まる
私も部屋に戻ってシャワーを浴び、制服に着替えて寮を出た