第25章 ボザリングミー
愛されていることが、甘くて甘くて、
気持ちがいい
息遣いと、喘ぎだけを言葉のように交わして
同時にイき
そのまま、そうするのが当たり前のように
爆豪の腕の中で眠りについた
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
翌朝、小さなノックの音で爆豪は目を覚ました
頭元のデジタル時計を見ると、まだ朝の5時前で
なんでこんな時間に、と一瞬イラついたが
腕の中に寧々がまだ収まっているのを見て
ため息を吐き、床に散らばる服を着てからドアを少しだけ開けた
「……てめぇか」
なんとなく、そんな気はしていて
廊下に出てからドアを静かに閉める
「これ、寧々が忘れてな、ねぇと困るだろ
さっきも来たんだが、その…
最中だったから一旦帰った」
少し言葉を選ぶように、轟が言って
小さな紙袋を渡してくる
多分中身は付けてなかった上の下着だろう
返事もせずに受け取る
「…今、あいつは変わろうとしてる」
轟の静かな声が廊下にやけに響く
「……てめぇと世間話する気はねぇ
馴れ合うつもりも
ただ、今やりやっても寧々が辛れぇだけだから、正面衝突はしねぇ
それだけだ」
爆豪の声も、いつもの噛み付くものとは違い
ただただ冷静だった
閉まっていくドアの端から、爆豪の布団にくるまる寧々が見えた
覚悟していたはずの痛みが、胸を締め付けたけれど
そんなことにももう慣れてしまっている
事を急いで、もう触れ合えなくなることの方が怖い
今はまだ、こんな歪な関係だったとしても
寧々を手放したくない
それはきっと、爆豪も同じ…
何秒か、扉をみつめて
自室に戻った
さっきも一人で、今も一人
変わらないはずなのに、やけに寂しく感じた