第25章 ボザリングミー
「食べに行くなら洋食?和食?」
「洋食!」
『どっちでもいいよー』
「イタ飯?肉もいいよねー」
「イタリアンかなぁ」
『まかせるー』
「「…………」」
『?』
「優柔不断!なおってないじゃん!!!!!」
『ひぃ!』
二人に頬を引っ張られる寧々
今までもずっとそうだった、何をしたいという欲求もなく
何になりたいという願望もなく
基本的にただ、流されて生きてきたのだから、
優柔不断…というか選択放棄な性格が定着してしまっている
そうしたのも、すべての選択を担ってきた過保護な兄と
趣味を全て押し付けてきた過保護な母のせいにあった
「じゃあ、肉か、パスタか!!」
『うう…どっちでも…だって、どっちも美味しいよ?』
「だーかーら!選んで!」
『じゃあ…パスタ…』
「よしよしー頑張ったねぇ」
選ぶって大変だ…
自分の言葉に責任を持たなければ、選ぶことは出来ない
15年間避けてきたことだから、リハビリが必要だけれど
それでも、やらなくてはいけない…
人に決めてもらったのでは、いけないんだ
パスタを巻きながら、さきは寧々に問いかける
「で?何でいきなり優柔不断直したいとか言い出したの?」
『…だから、さっき言ったじゃん?』
「うーん、にしても早急だなって」
『あー…うん…なんかね、麗日ちゃんから聞いたんだけど
今、ヒーロー科のインターン行ってる子達、大変なんだって
何が大変かとかわかんないんだけど…
でも、そんな大変な時に、
私、二人の足引っ張ってるなって思って…
仮免講習もハードみたいだし、がんばってほしいの
だから、私も頑張って、自分の嫌いな所…卑怯なところ治したいんだ』
そう言い終えた寧々のフォークを握る力が強くなる
「そっか、なんか寧々らしいや」
「そうだね、、、私達も支えるから、頑張って治そうね
優柔不断♡」
『さきちゃん…ゆき……』
二人を交互に見れば、優しく微笑みかけてくれる
本当に二人に出会えてよかったと、心の底から思いながら
嬉しくて、瞳に涙を貯めた