第25章 ボザリングミー
ラムの一件で、爆豪と轟、二人の中には妙な連帯感が生まれていた
今まで、顔を見合わせれば顰めあっていたのだが
お互い、お互いの気持ちが本物であると知った今、敵対の先のなにかを感じていた
今までは、自分の方が寧々を好きだという
競争心が強かったのだが、
今は、お互いの気持ちを、認め合った上で
寧々に選ばれたいと願っている
その変化は、とても大きいものだった
そして、変化が起きたのは二人だけではない
寧々もまた、変わろうとしていた
「「優柔不断を治す?!」」
『うん…』
驚きと呆れの入り交じった表情で顔を見合わせるのは、
彼女の親友、さきとゆきだ
「何をいまさら…」
『私ね、超のつく優柔不断なのね…
だからね、それを直したいの…そしたら、二人にもちゃんと向き合える気がするの』
1-C寮のソファーで、クッションを抱きしめそう言う寧々
その目は決意の炎がやどっている
寧々の方から彼らの事で相談されたのは初めてで
友人二人は、寧々がかなりのショックをラムの事で受けたのだと察した
『焦凍は、特にモテると思うの…
言えてないだけ人もたくさんいると思う…
でも、言ってない子の中には絶対たくさん私なんかよりいい人がいると思う!だからね、焦凍に頼んでみることにしたの』
「まぁ、モテるだろうね…
で、何を頼むの?」
『他の子も見てみてって…
私、冷たくしてたら嫌われて、他の子と二人がくっついたら私は諦めれるなって思ってたの…
でも、違った
余計二人を意固地にさせてたよね…
だからちゃんと頼んでみるの』
両手でグーをつくり、気合を入れる寧々
だが、友人はため息を吐くばかり
「ごめん、寧々、あんた何もわかってない…」
「いや、さき、それ以上言うまいよ…この子は本気でこれが最善策って思ってんだから
私らができるのはサポートだけだよ」
何をやったところで、二人が寧々を諦めないという考えは
寧々本人には無いようで
「ま、何にせよ私らは、ずっと寧々の味方だよ
げんきになったなら、ご飯食べよ?
なにか食べに行く?それとも作る?」
「うーん、食べに行くかなぁ」
『私はどっちでもいいよー』