第24章 ランナウェイフロムミー
「ちくしょう!ちくしょう!!!ちくしょう!」
ラムは、授業をサボって屋上に来ていた
ガンガンと、上靴で屋上のフェンスに蹴りを入れればガシャガシャと音を立てる
最悪だった
本当に、最悪だった
クラスメイトはゲテモノを見るかのような目で見てくるし
見下していた男子生徒にも無視される
金魚のフンよろしく、周りをうろうろしていたやつらも、私の噂をほいほい人に話して笑っているし
最低最悪だ
中学まで、頭も良くて可愛い私は人気者だったのに
全部全部全部全部、あの女のせいだ
あと、轟焦凍のせい
私をフるとかありえない
蹴りまくっていたフェンスに背中を預けると、爪を噛む
小さい時からストレスが溜まるとやってしまう癖だ
あの日、焦凍を呼び出した日のことを思い出す
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「俺の下駄箱に、これ入れたのお前か」
ヒラヒラと風にゆれる手紙を轟が出すと女はふふっと口角をあげ
「そうだよ♡」と媚びた声で答える
「…寧々の秘密教えますって…どう言う意味だ」
そんな浅はかな色仕掛けに、眉の一つも動かさずに答える轟
「んー…見た方が早いから、
はい、これ」
胸ポケットから出された何枚かの写真を受け取り、轟はそれを捲っていく
ラムは轟の視線が写真に向いていることをいいことに
片方の口端を歪め、意地悪く笑った
「それ…うちの友達がたまたま撮ったらしくて、
ほら、私友達多いから
少し聞いたらみんなが集めてきて…
私、焦凍くんのコスチューム作ったでしょ?
それでみんな、私と焦凍くんが仲良いって思ったらしくて
教えてあげてって言われたのー」
スラスラと言ってのけるが、これは全てあらかじめ用意していた全くの嘘だ
たまたま撮った訳ではない、
そのどの写真もラムが張り込んで撮ったものだ
そして、もう一つ、誰も轟とラムが仲がいいなど思っていない
二つの嘘をサラリと言うラムの言葉に耳を貸しているのか居ないのか
轟は手の中の写真を、全部見終わった後
ラムに突き返した
そして
「これがどうかしたのか?」
と冷たく言い放つ