第24章 ランナウェイフロムミー
女は、燃え尽きたように動かなくなり、ただ一点、轟を見つめたまま固まってしまう
「俺は、お前のことは好きになれねぇ
こういう事があったからとか、無かったからとかじゃなく
俺は寧々以外好きになれねぇんだ…悪りぃな」
それだけ言い残すと、轟は踵を返してサポート科を離れる
轟に付いていくのは癪なので、爆豪はそのまま階段を降りていった
絶対自分の手で爆破してやると思っていたのに
結局轟に良いところを持っていかれて、これでは消化不良だと舌打ちしたが
確かに、自分が何か物理的攻撃をしていたら寧々はひどく悲しんだだろう
そう思うと、これでよかったのだと飲み込む
爆豪と轟の復讐劇は、すぐに全校の知るところになり
もちろん寧々の耳にも入った
『……なんか、自分の事をさらに最低だなって思ったよ』
「なんでよ、寧々が悪いわけじゃないじゃん」
「そーそ、しかも、あの女
他校のヤンキー雇って寧々の事襲わせる計画だったらしいよ」
その情報を漏らしたのは、取り巻きだったと言う
友人だと思っていたラムの取り巻きは、実はラムの金目当てだったらしい
ラムは、年上の《パパ》が居てかなり羽振りが良く
仲良くしていれば、カフェや女子会のご飯代はもちろん
時々は、その《パパ》からもらった気に入らないプレゼントを回してもらえたらしい
でも、コテンパンに振られたラムを見て
「ダッサ…もうつるむのやめるわ」
と…こういう具合で、ラムは一人になってしまったのだと言う
普通なら、強姦計画をしていた犯罪者まがいな女にザマアミロな事案だが
寧々は到底そう考えることはできず
ただ、『自分が焦凍と出会ってなければ、彼女がこんなに傷つかずによかったのではないか』
『出会ってたとしても、きちんとどちらか選んでいれば…』とタラレバを脳内で繰り返す
どんどん暗くなっていく寧々の表情に、さきもゆきもそれ以上なにも言えなくなって
目を合わせてバレないようにため息を吐いた
「お人よしすぎる」と