第23章 キープミー
「悪ぃ…俺のせいで、寧々にこんな…」
本当に申し訳なさそうに眉を下げる焦凍に
冷たくしなくちゃ、という考えも忘れてフォローする
『だ、大丈夫、見た目ほどひどくないから
それに焦凍のせいじゃないよ
むしろ私のせいだから…』
へらっと笑う寧々の顔を見つめて、轟は決意を固めたように頬から手を離す
「絶対ゆるさねぇ…」
そう呟く焦凍はまるで出会った頃のような冷たい目で…
『え、まさかあの子に何か言うつもり?!
いい!いいから!大丈夫だから』
一生懸命止めるけれど、焦凍の目は変わらない
『ねぇ、本当に…』
そこまで言った私の肩をさきちゃんが掴む
「ハッキリ言ってやってよあの女に…
ただし、個性は使わないで
あなた、ヒーローになるんでしょ
むやみにそのいい個性使わないでも、あなたなら普通にあいつシメれるよ」
「私からも頼むわ、寧々が殴られた時
何もできなかったからさ…」
『さきちゃん…ゆき…』
二人の目も怒りで燃えている
そんなに怒ってくれなくても…私は平気だし、怒られても仕方ないのは私の方なんだよ?
『焦凍!行かないで…』
肩を掴まれたまま、そう言うけれど、焦凍は一度だけこちらを見て、でもすぐ教室を出て行ってしまった
「行かせてあげなよ、
大丈夫、個性は使わないって
それに、私たちも、気持ちわかるんだ」
「うん
叩かれただけでも酷いのに
今でもあの子、嘘ばっか言って回ってるんだよ…
寧々が援交してるとか、近親相姦してるとか」
『近親…!?』
まさかお兄ちゃんと…?
それは少し、そう思われても仕方ない節がある分信ぴょう性がありそうだ
「だからここは、ガツンと言ってもらお!」
「二回も振られたらさすがにあの子も諦めるよ」
私は人間関係に恵まれすぎている
そう思って頭を撫でられるまま目を閉じた