第22章 プレイウィズミー
「寧々ー!寧々ーーー」
『へ?!な、なに?さきちゃん』
名前を呼ばれていることに気付かなくてハッとする
「大丈夫?食べないの?」
学食で注文した小さいサラダは、プチトマト一つしかまだ減っていない
『なんか…食欲なくて』
そう答えると、さきちゃんとゆきは顔を見合わせてため息をつく
「あんまり無理しないでよ?」
「そうそう、また倒れたら大変」
二人が心配してくれるのもわかる
自分でも思うもん、いつもより顔色は悪いし
体重は減ったし…
元気ない、のを全身で表現してしまってるみたい
無理して口にポテサラを頬張るけど、吐き気がして
『ごめん…お手洗い行く』
二人を残し、席を立った
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〜爆豪side〜
「寧々、やばいよね…」
という声が耳に入り、顔は前を向いたまま耳だけすませる
いっつも寧々と一緒に居るモブ女2人の近くに座ってしまったようだ
ちょうど話題は寧々の事だし
目の前でアホ顔がなにか話しているけれど耳に入るのは
モブ女二人の声だけ
「思う…記憶もどってからの方が
記憶なくなる前よりやばいよね」
「痩せすぎてて見てられないよ…」
友を想う悲痛な声
「ぶっちゃけ…さ、
寧々って轟くん?だっけ…エンデヴァーの息子
あの人のこと好きだったよね」
その言葉に、背筋が一瞬で凍りつく
―――どういう意味だよ……
「あ、それ思ってた…
運動会の時とかね、轟さん見る度に恋する乙女な目してたもんね」
「運命の人だかなんだか言ってたけど…
あの怖い感じの人と付き合うって言った時は驚いたよね」
「絶対轟さんと付き合うと思ってたもんねー」
「それね、なんで轟さん辞めたんだろ…?」
「寧々、ぜったい轟さんの事好きだったよ」
「あの怖い感じの人の事とか、あんまり意識してなかったよね」
「好かれてることにも気付いてなかったしね」
なんでだろうね、と疑問だけを残して、話題は別の方向へ向く
もう、何も食べる気なんて起きなくて
立ち上がって、学食を後にした