第22章 プレイウィズミー
朝目覚めると、誰もいない
昨晩、勝己が来た気がしたんだけど…
体を起こすと何も着てなくて、腰もだるい
『ですよね』
性行為特有のの翌日のだるさに、はぁ…とため息をつく
勝己はいつの間に帰ったのだろうか
まぁ、顔合わせても何話したらいいか分からないからいいんだけど
身支度をして、部屋に戻り制服を着る
『うわ…ひどい顔だなぁ…』
鏡に写った顔を見て驚く
少しだけどまぶたが腫れている
――冷やさなきゃ…
冷蔵庫から水を取り出し瞼に当てた
私に泣く資格なんてないのに
本当に弱い己の精神に腹が立つ
少しすれば目の腫れはどうにか目立たないくらいになって
そう時間もないから寮を出て教室に向かう
その道すがら、会いたくない人と目が合って
とっさに小走りで逃げた
が、体力で彼に敵うわけもなく
「寧々」と名前を呼ばれ、腕を掴まれる
『…焦凍』
「学校行くんだろ、一緒に行こう」
『一緒にって言っても…すぐ着くよ?』
「それでも、数分でも一緒に居てぇ」
そんなことを言われてNOと言えるほど
私は冷酷になりきれず
微笑んでくる焦凍の隣をただ無言で歩いた
程なくして普通科の校舎の前に着く
『じゃ…』
簡易的な挨拶で別れようとすると
「寧々!」と呼び止められる
『なに?』
「……なんでもねぇ、悪い
またな」
少し間があって、そんなことを言って手を振ってくる焦凍
返事もせず普通科校舎に入り階段を上っていく
振り返ると案の定、焦凍がまだこちらを見ていた
――そんな目で見ないでよ…
まるで捨てられた猫のような…
不安と、悲しみの入り交じったようなオッドアイ
これ以上見つめてしまえば、踵を返して抱き締めたくなる
でも、そんなことしてはいけない
そんなことしたら、焦凍をもっと傷つけるだけだ
心を鬼にして、視線から逃げるように階段を駆け上がった