第21章 ユーアンドミー
朝目が覚めると絡み合うように抱き合って眠っていた
長いまつ毛を伏せて眠る寧々
朝日に浴びて綺麗だ
このまま、起きてきた寧々が俺を見て
微笑んで
『おはよう勝己』って言ってくれたら
そのままどちらとも無く口付けをして
一緒に学校へ行って
一緒に昼飯を食って
帰ったらまたこうやってただ抱き合って
くだらない話をしたり
DVDをみたり、ただダラダラしたり
そんな普通の事ができたらどれだけ幸せかと考える
その時、腕の中の寧々の閉じたまぶたから
突然涙がこぼれ落ちた
「!?」
突然のことで驚いてしまう
寧々は一つ小さく息をはくと、
『しょう…と…ごめ…ん…ね』
と、途切れ途切れにつぶやいた
「……っ」
胸が焼けるように熱い
夢の中でもこいつは、半分野郎のことを考えてんのかよ…
泣くほど…俺に抱かれたのが嫌だったのか…?
でも、抱かれている時の寧々は
俺の名前を呼んで、好きだって…
そう言ったはずなのに
寧々の事が分からねぇ…
掴んだと思えばサラサラと砂みてぇに指の間から滑り落ちていく
このまま、俺だけが一方的にこいつを好きで
こいつには決して愛してもらえないのだとしたら…
それでも俺は寧々を愛し続ける事ができるのだろうか
何度も傷つけられて、身も焦がされるような恋に焼かれて
いつまで耐えられる…?
「寧々…」
とっとと俺のものになってくれ…
今はまだ、まだ、耐えられる
俺が諦める事は一生ないだろう
お前から離れるとすれば俺が壊れた時……
それまでに、どうか…
起こさないように起き上がり
服を拾ってベッドから出る
「…ひでぇ顔……」
鏡に映った自分の顔は、いつもの覇気はなく
こんなの……昔のデクみてぇじゃねぇか…
Tシャツの裾で涙の跡を拭って
静かにドアを閉めた