第21章 ユーアンドミー
シャワーを浴びながら額を壁につける
ひんやりとしたタイルが頭を冷やしてくれる
私は本当に馬鹿だ…
太ももを白い液が伝っていく
中に出された物が出ていくのを眺めながら
お湯に打たれていると
自分が何をしたいのかわからなくなってきた
どちらかに選べば私は楽になるの?
さっき思ったみたいに、勝己の物になれば…
いや、ダメだ、
絶対どちらか選んでも、もう片方に言い寄られたら関係を持ってしまうに違いない
自分の意志の弱さを呪いながらついたため息は、シャワーの音に消された
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髪を乾かして部屋に戻る
ドアを開けると
『勝己…』
勝己が人の布団の上でスヤスヤと寝ていた
帰ってって言ったのに…この人は…
勝己の隣で横になる、またこの匂いだ…
甘ったるいニトロの香り
私の部屋中に充満している
これ、当分匂い取れないんだろうなって思いながら布団に顔を埋めて目を瞑むった
10分ほどたった頃だろうか
ゴソゴソと隣で動いて、手がにゅっと伸びてきて私を抱きしめた
――勝己、起きてる…?
「寧々…」
かすれた声が私の耳元で名前を呼ぶ
返事はしなかった
泣きそうな声だったから
寝たフリを決め込んでいると
勝己の私を抱きしめる力が強くなる
一筋の雫が首筋を濡らしていく
それが涙だと分かった時、私の瞳からも涙が零れた
こんな誰も幸せになれない恋を
私たちはいつまで続けるんだろう
勝己にバレないように声を押し殺して泣いた