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【ヒロアカ】キスミーベイビー【轟、爆豪、物間】

第21章 ユーアンドミー



朝目覚めると、隣には寧々が眠っていた
何か嫌な夢でも見たのか、頬には涙の跡が残っているし
目は赤く少し晴れていた

右手を目の上に押し当て、冷気を送る

少し冷ませば腫れは引くだろう



手のひらに当たるまつ毛が揺れる

「起きたか?」

『うん…おはよう焦凍…』

少し赤みの引いた瞳がで笑いかけてくれる
けれどその笑顔はいつもよりも力がない


寧々はのろのろと起き上がって、
タンスの荷物をカバンに詰めはじめる



その姿に一気に現実に戻されてしまう

――そうだ、もう俺たちは付き合っていない…





昨夜ここで過ごしてくれたのは、寧々の意志じゃない
俺が頼み込んだが故の、慈悲だ





引き潮のように去っていく幸せを離したくなくて
引き止めるように、後ろから寧々の体を抱きしめる



「……行くな…行かないでくれ」








『焦凍…』


「寧々…俺を捨てないでくれ…」




『捨てるだなんて…そんな言い方しないで…
本当にこの部屋から出られなくなっちゃうから…』



「出なかったらいい…」


寧々の顎を掴み唇に噛み付くようにキスをする



『ん…だめ、焦凍…

遅刻しちゃう…から』


胸を押されて、体が離れる




「…授業出るのか?」


『うん…記憶も戻ったし』


どこかバツが悪そうな表情で床を見つめて、
まったく目をあわせてくれない


寧々は俺の腕から抜け出ると、制服を片手に
何も言わずに出ていってしまった




今まで、これほど寧々に拒絶されたことがなくて
押し返された胸元がやけに痛い







脳裏に思い浮かぶのは遠い記憶
母親に拒絶され、煮え湯を浴びせられた醜い過去

いまさら痛む左の火傷は
気のせいなのだろうか




「寧々……」

部屋にかすかに残る彼女の気配も

何日かしたら消えてしまう






そうしたら、俺は

もう立っていられない気さえした



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