第20章 アイマイミー
『でも、わたしのママもパパもばくはつしないよ?
パパはまねっこで、ママはじかんがとめれるの』
「なら、おまえのこせいは
まねっこなんだな
ちゅーしたからオレのをまねっこできたんだ!」
『うわーすごい!わたしのこせいだぁ!』
ぴょんぴょんと跳ねるわたしに、勝己がもう一度キスをする
『なんでまたちゅーしたの?』
「わかんねぇ、かわいかったからかな」
赤面する私、勝己は子供の頃から積極的だった様だ
「オレは爆豪勝己」
『わ、わたしは口付寧々』
ふたりで小指をむすび
大人になったら必ず結婚しようねと約束した
あの頃の私は、毎日絶対勝己を忘れないように
毎日眠る前に勝己のことを考えていた
来る日も来る日も、
だけど、子供の記憶力には限界があって
三年くらいした頃、ママにあの時立ち寄った街の名前を訪ねても
名古屋か静岡かも分からないと言われ
私の記憶の男の子も六年もした頃には顔も髪型も忘れてしまっていた
それでも毎日思い出していた
美味しいものを食べた時
友達と楽しく話している時
辛いことがあった時
お兄ちゃんと喧嘩した時
どんな時でも顔も名前も覚えていない彼のことを思い出した
たった一つの約束を
大きくなったら結婚しようねという
子供同士の約束を
12歳になって、やっと
さすがに4歳の戯言だと思うようになった
あの約束は無効だと
頭で自分に言い聞かせてはいたけれど
8年間ずっと心に居座り続けた彼を
完全に諦めることは出来なかった
彼氏だっていなかった訳じゃない
いつも決まって、火に関係する個性の男の子を選んだ
あの男の子の面影を重ねようとしていたのかも…
でもキスをされそうになると拒絶してしまう
嫌だった…
あの男の子じゃない人と、好きでもない人と
綺麗な思い出を汚されるみたいでいやだった
高校を決める時、最後の足掻きに雄英に行こうって決めた
ヒーローになると言っていた彼が
雄英ヒーロー科に入る可能性に賭けようとおもって
これで最後にしようって思っていた
もしこの学校で見つからなければ
新しい恋を探して、幸せになりたい…
そこで出会ったのが…焦凍
たぶん、ちゃんとした初恋だったのだと思う
焦凍が、あの男の子だったらって思った…