第19章 ラブミー
目を覚ますと、お兄ちゃんがそばに居た
「寧々、目が覚めました!」
お兄ちゃんが誰かにそう言うと、リカバリーガールもそばに来てくれる
『…わたし……』
「階段から落ちて倒れてたんだよ
貧血、心労その他もろもろ
元々健康体ってわけでもないんだから、少し無理したらそうなるよ」
「寧々が無事でよかった…頭の傷はすぐ治るって
寧々に何かあったら、兄ちゃんは……」
お兄ちゃんが泣きそうな顔で抱きしめてくれる
『ごめんね、お兄ちゃん…ごめん』
「兄ちゃんの所においで、前みたいに一緒に住もう」
お兄ちゃんがつよく手を握る
『?
私お兄ちゃんと住んでるじゃん………っ!!!』
頭が割れるみたいに痛い
『痛いっ…』
「寧々!?」
「ちょっと見せてご覧、呼吸できるかい?」
呼吸も苦しくて、無理なにこれ
頭の中に色んなことがテープみたいに巻き戻っていく
私を呼ぶ声、その笑顔、誰?あなたは
-----大きくなったら、お前はオレのお嫁さんになれ-----
そうだ…勝己……思い出した
私とあなたの事、あなたと私の事
小さかった頃の記憶まで、全部全部
霧が晴れるように、頭の中にすべて収まる
あるべきものが、あるべき場所に
そして涙が溢れる
あんなに好きだった人を忘れていたこと
そして、もう好きでは居られないこと
「寧々…?大丈夫か…」
『うん…大丈夫…全部思い出した』
「思い出したって…」
『思い出したの、勝己との事…焦凍とのことも
私2人と話さなきゃ……』
「……寧々」
その時、バタバタと廊下を走る音がして、保健室のドアが開く
「「寧々!!」」
みるとそこにはバトルコスチューム姿の勝己と焦凍
『焦凍………勝己…』
「その呼び方…記憶戻ったんか」
勝己が泣きそうな顔でそう言う
焦凍は何も言わずにただ立ちすくしている
『うん…全部思い出した』
お兄ちゃんの方を見る、お願い二人と話させて
お兄ちゃんはわたしの視線を読み取ってくれたみたい
何も言わずに席を立って保健室から出ていった
「その怪我…大丈夫なのか」
『うん、少し頭打っただけ』
頭の包帯を触りながら答える
ふたりは安心したようにため息を吐いた