第18章 チューズミー
〜爆豪side〜
乱暴なノックとともに目が覚める
時計を見ると夜中の3時前
隣に居たはずの寧々が居ねぇ…
いつの間に帰ってしまったのか、パンツとズボンだけ拾って穿いて
ドアを開けると、顔面蒼白にした切島だった
「んだよ…何時だと思って…」
「ごめん爆豪」
「あ゛?」
「俺、今さっき寧々ちゃんに全部言っちまった…」
「何を」
「記憶喪失のこと…喪失する前のこと、全部」
「…………」
「ほんとに悪い、外野が口出しして…」
「いや、俺はいい
寝る、お前も寝ろ」
切島はもう一度「ごめん…」とあやまって、部屋に戻って行った
――どうせ寧々に教えてくれって頼まれたんだろ
あいつは自分からいうタイプじゃねぇから
枕の下に隠している寧々の写真を取り出して、眺める
今、この笑顔は俺の代わりに轟に向けられている
記憶喪失前は俺と付き合ってたと知って
あいつはどっちを選ぶんだろう
全てを知った今寧々は頃、後悔と罪悪感で押しつぶされそうになっているだろう
彼女の温もりが消えた布団を抱きしめる
――俺の元に戻ってきてくれ
轟の所に行くな…
元々、半ば強引にして、やっと付き合えたんだ…
寧々の気持ちが轟の方にあったのは知っていた…
だけど、俺の事も気になっているのもわかっていて…
昔の約束と、10年間寧々のことを好きだったってアドバンテージで、やっとのこと俺のモノにした
次はそのアドバンテージも効かねぇ
次選ばれた方が、本当の意味で寧々に選ばれたってことになるだろう
寧々を失うことを想像するだけで、身震いがする
もし轟を選ばれたら、俺は身を引けんのか?
いや、無理だな
また今のように関係を無理矢理でも持とうとするだろう
寧々は推しに弱ぇえ…ってか、
基本人を拒まない性格だから、この関係を続けることも可能だろう
それでも俺は1番じゃねぇと気がすまねぇ
ぜってぇ寧々は取り返す