第18章 チューズミー
『うそ…』
じゃあ、私は爆豪くんの恋人で…
その記憶を焦凍との記憶に塗り替えてたってこと?…
「誰も悪くねぇんだわ、記憶を書き換えた寧々ちゃんも
忘れられた爆豪も、 恋人になり変わった轟も」
誰も悪くねぇから、誰も口出しできなかったんだ…
そう続ける切島くん
『切島くん…話してくれて、ありがとう…』
爆豪くんと付き合ってたのは、なんとなく、そうなのかなって思っていたから驚かなかった…
ただ、焦凍と私が付き合っていなかったことに驚いた…
ショックだった
私は、私に片思いをしていた焦凍に、恋人のふりを強制してたんだ…
どれほど残酷な事だろう
それに、昨日感じた違和感……
『あの…さ…
辛いのが好きなのって…もしかして爆豪くんなの?』
「昨日のカレーの事言ってんなら、辛いのが好きなのは爆豪だな
轟は、たぶん蕎麦とか好きだったと思う…
昨日のカレー…轟のやつ無理して食べてたから」
最悪だ、
私は何回気付かないうちに
焦凍を傷つけてきたんだろう
切島くんの横を抜けて、ふらふらと寮から出て1-Bの寮へ向かう
寮の前にお兄ちゃんが立っているのが見えて、思いっきり抱きつく
『お兄ちゃん…私…最低だ…』
涙がとめどなく溢れてくる、最低だ最低だ最低だ
焦凍をどれだけ傷つけたのか、爆豪くんをどれだけ苦しめたのか
たった2週間だったけど、その間ふたりはどんな気持ちで…
それに気づくこともせず、私は2人に甘えていた
わたしの心が弱いせいだ
お兄ちゃんは何も言わず、強く抱きしめてくれる
泣き疲れて、お兄ちゃんの部屋についたらすぐに眠ってしまった
久しぶりにお兄ちゃんと二人で寝ると
いつもより深く眠りにつけた