第16章 ドントフォゲットミー
部屋に戻ると焦凍が本から顔を上げる
「おかえり」
『ただいま』
焦凍の布団に潜り込む、あったかい
この部屋は畳のいい匂いがする…なんだか落ち着くなぁ
お腹からするすると焦凍の手が体をまさぐる
『ん…っ』
目を薄く開けると、絆創膏だらけの焦凍の顔
(傷痛そう…)
そっと絆創膏の上からキスをすると焦凍が唇を甘噛みしてくる
そのまま舌を絡ませて深いキスに
器用に脱がされてしまう
「寧々、綺麗だ」
体にキスの雨が降る
気持ちいいところを弄られて、大きいモノで突かれると
声が溢れる
でも、私はなぜかどこか遠くで私と焦凍の行為を眺めている
とても冷めた気持ちで
抱かれているのにどこか他人事で
喘いでいるのに私の声じゃないように感じる
爆豪くんに抱かれてから、焦凍とする時はこんな感じ
心ここに在らず
焦凍が動きを止めて見つめてくる
ヤバい…バレたかも
『やめ…ないで…?
もっとして…』
そう呟くと、強く抱きしめて奥をついてくる
よかった…バレなかった
少し演技してるのかも、私
「寧々っ…寧々…」
そんな切ない声で呼ばないで
罪悪感で胸がえぐれそう
『一緒にっ…』
何が一緒に、なんだろう
焦凍の首に手を巻き付けて顔を見られないように抱き寄せる
焦凍のが少し大きくなる、もうそろそろイくんだと思う
「もっ…出す」
『んっ、出して、きて』
体が2、3度跳ねてから中に暖かいものが流れ込む
また、イケなかった
私の身体はおかしくなったみたい
このままじゃ焦凍にバレてしまう…
どうしよう…
私を抱きしめたまま眠る焦凍の顔を見つめる
焦凍はなんで私が好きなの?
私は焦凍のどこがすきなんだっけ……
優しいところ、カッコいいところ、強いところ、頭がいいところ、見かけによらず天然なところ
あげればいくつも有るのだろうけど
どこが好きかと問われると分からない
私達ってどうやって付き合い始めたんだっけ
そんな大切なはずの思い出が、よく分からない
何度も告白されていたからそのうち…という感じだったっけ
うつらうつら眠気が襲ってきて
焦凍の腕の中に丸まるように眠りについた