第15章 キルミー
何も考えたくなくて、ただ鍋から上がる湯気をながめていると
切島「ただいまー…お!めっちゃいい匂いする!」
『あ、おかえり切島くん、常闇くん
よかったらたくさん作ったから食べてー』
帰ってきた2人に声をかけると、食べる食べる!と言ってくれる
カレーの匂いに誘われるように、みんな食べに来てくれた
共同スペースはみんなで食べるには狭いので、女子は女子の共同スペースに行ってたべるみたい
「「「いただきまーす!」」」
ので、私の目の前には男子軍
なんだか部活の合宿みたい…なんて思っていると
そこに焦凍と爆豪くんが帰ってきた
「ただいま、寧々」
『焦凍!…爆豪くんも、2人ともおつかれさま…
って…すごい怪我!大丈夫?!』
轟「見た目ほど酷くはない」
爆豪「……」
『そうなんだ…よかった…
あ、あのカレーたくさん作ったの、よかったら…』
切島「おう!二人共お疲れ!
カレー食おうカレー!」
どう言おうか悩んでいると、切島くんが爆豪くんを掴んで連れていく
私の目の前には焦凍だけになる
『焦凍、カレー好きだったよね!
たくさん食べてね』
焦凍はなぜか少し悲しそうな顔をして、でもすぐ優しい笑顔で「あぁ、ありがとう」って言ってくれた
男性陣につくった普通の中辛はもうほとんどなくなってて
爆豪くんには申し訳ないけど激辛しかないかも…
『あ、あの爆豪くん辛いの平気?
焦凍用の辛いのしかないかも…』
おずおずと聞くと
「あぁ」って返事が来る
『もし辛すぎたら残してね、何か作るし』
あ、オレもそれ食いてぇ!って切島くんが言うので
激辛カレーを3人にわたす
焦凍しか食べれないかもなぁ…なんて思いながら
3人がいただきますをして、スプーンを口に運ぶ
切島「うっわ!思ってたより辛れぇな」
『だよねー(笑)
焦凍用の辛さだし……』
あれ?焦凍…?
轟「悪ぃ…ちょっと辛すぎる…」
『え、でも前これくらい辛いのがいいって…』
この作り方で作って……すごくたくさん食べてくれてたのに
なんでだろ…と首を捻っていると
爆豪くんが綺麗に平らげてくれているのが目に入る
ズキン!と頭が傷んだ
『あれ?』
なんだろうこの違和感
『…っごめん、部屋戻るね』
これ以上何か見たら、何かが壊れそうで逃げるように部屋に戻った