第15章 キルミー
二人が寮から出ていくのを窓から見送る
焦凍がなにか話しかけているみたいだったけど、会話にはなってない感じ
二人の姿が見えなくなってから、服を着替えて顔を洗いに共同スペースに行く
「お、寧々ちゃんー」
上鳴くんがちょうど歯磨きを終えて声をかけてくれる
峰田くんも一緒だ
「今日、轟仮免講習なんだろ?
俺ら、ヤオモモの予習会やんだけど、寧々ちゃんも来ねぇ?」
『え?わたしも参加していいの?』
嬉しい申し出に、気分が明るくなる
「いーよいーよ!一緒に勉強しようぜー」
私は上鳴くんのご好意に甘えて、参加させてもらうと返事をした
1-Cの私が、1-Aの寮に来て
絶対迷惑だし、みんなもなんで私がいるのか疑問だと思うのに
こうしてみんな優しくしてくれる
有難いなぁ…
軽い朝食を済ませ、上鳴くんに言われた通り1回のリラックスルームに行く
「あ、寧々さん!」
部屋に入ると八百万さんが声をかけてくれた
『八百万さん、今日はよろしくお願いします
授業受けれないからありがたいよぉー』
「みなさんのお力添えになれるよう頑張りますわ!」
なんかプリプリと気合を入れていてかわいい
みんなもホッコリとした顔になる
私は芦戸さんの隣に座り
休日の八百万予習会がスタートした
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「ここでいったん休憩にしましょうか」
二時間ほどだった頃八百万さんがそう切り出した
「ふへー疲れたー!」
「なかなか進んだね」
『すごくわかりやすかったよぉ!』
本当にわかりやすかった、さすが1-Aのトップ成績、推薦入学者
「みなさん、お紅茶でも飲みません?」
八百万さんがお茶の準備を始めてくれるので
『あ、手伝うよ』
とそばに寄って茶器をセットする
「今日はWedgwoodとHarrodsを用意してるのですが
寧々さんはご贔屓ございまして?」
『うーん、Wedgwoodはフレーバーティーよく飲むよ
メーカーはTWGが一番好きかも
でも国産茶葉も好きだし…何でも飲むなぁ』
「まぁ!」
なぜか八百万さんが目をキラキラさせてこちらを見てくる
なにか面白いこと言ったかな?