第1章 19年後 クリスマス
「ママ!パパ!」
クリスマスの当日、ハリーが食卓でコーヒーを飲みながら日刊預言者新聞を読んでいると、リリーがキッチンに駆け込んできた。ピンクのくまのぬいぐるみを持っている。
幼い時のジニーそっくりの笑顔にハリーは微笑んだ。
「メリークリスマス、リリー」
「メリークリスマス、パパ。このくま、とっても可愛いわ!ありがとう!」
昨日ハリーとジニーは、まだ幼いリリーに、プレゼントを枕元に置いてやってから寝室に行ったのだ。
毎年のようにジェームズとアルバスの部屋にも行くか話しあった結果、あの2人の部屋に行くと何かに引っかかりそうという理由で当日手渡すことに決めた。また、ハリーが渡す物をこの後に及んで迷っていると言う理由もあった。
「喜んでくれてよかったよ」
コーヒーを置いて、くまの名前を考えているリリーを膝に乗せながら、ハリーは言う。
「やっぱり2人にあげることにするよ、あれを」
ジニーは微笑んだ。
「あなたがそうしたいならね。メリークリスマス、リリー。プレゼントは気に入った?」
「ええ、とっても!今名前を考えているところなのよ」
リリーは真剣な表情で言った。
その時、二階からジェームズとアルバスが駆け下りてきた。
「「メリークリスマス!」」
2人の息子が暖炉の前のプレゼントの山に一目散で走る。
夢中でプレゼントを開封している息子達を見ながらハリーはこの子達はあの悪戯グッズをどう使うのだろうと思った。
ジェームズにはイグノタスからの贈り物を、アルバスにはムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングスからの贈り物を贈る予定だった。
ハリーが透明マントを持っていることはホグワーツの先生はほとんどみんな知っているし、忍びの地図の秘密の通路はホグワーツの闘いから塞がれたままだ。
だからハリーが使っていたほどは便利ではないかもしれないが、これらを渡すのには信頼が必要だった。
ハリーはとても幸せだった。
ジェームズがスリザリンを尊重するようになったことも、アルバスが内に籠るのをやめたことも、とても嬉しく思っている。
だから、このタイミングで、彼らにこれを渡すことに決めたのだ。