第4章 半分。
Fred side ~from heaven~
フレッド・ウィーズリーは今日も憂いの篩の中を見つめていた。
こっちの憂いの篩は思い出を見るものではなく、現世の様子を見るためのものだ。こっちではそれを見るくらいしかやることがない。
篩の中では彼の双子の片割れが、何をするでもなく目をぱっちり開けてベッドに横たわっていた。
幼い時から2人で使っていた隠れ穴の部屋は、パーシーやロンが使っているものと同じ大きさだったが、ジョージには大きすぎるとフレッドは思った。
思えばジョージもフレッドも、一人きりの寝室で寝るという経験をしたことがなかった。
フレッドが死んで、あの部屋に帰れなくなるまでは。
今、フレッドのベッドは空っぽで、埃が積もっている。
ジョージはフレッドのベッドに背を向け、それが目に入らないようにしていた。
双子の相方の目に何の光も映っていないのを見て、フレッドは恐ろしささえ感じた。
あれから3ヶ月がたった。
フレッドはこっちの生活に慣れ始めてきていた。
ハリーのパパ、ジェームズとシリウスと彼らの学生時代のいたずらや、忍びの地図のこと、フレッドとジョージの自由への逃走の話をするのは楽しかった。
しかし、確実に、何かが足りなかった。寂しかった。完璧な合いの手も、完璧な相棒も、ここにはなかった。
ジョージが喪失感に襲われているのは知っていた。
フレッドがそうだったからだ。
いつもフレッドの左側にはジョージがいた。
だから左側が空っぽだとどこか落ち着かないし、きっとジョージもそうだろう。
大きな水盆の中のジョージは、何もせず、ベッドに横たわり、宙を見つめていた。そして時々切れたように眠り、眠りながら泣いた。フレッドもそれを見ながら泣いた。
ジョージはジニーに説得され食事だけは少しずつ取るようになったようだった。しかし、目に見えて痩せていたし、以前のような赤毛ではなく、くすんでいた。
そして何より、表情はなく、生気はなく、まるで半分死んでいるかのようだった。
「おい、お前、店いけよ…」
フレッドは呟いた。
いたずら専門店は2人の夢だった。
2人で切り盛りできたのはほんの1年間だったが…。
3ヶ月経ってもまだジョージは店に出ていない。
つぶれっちまうぞ。
フレッドは心の中で呟いた。