第1章 19年後 クリスマス
「本当によかったわ」
子供たちが寝静まって、ハリーと一緒に寝室に上がってからジニーは言った。
「アルバスが自信を取り戻してから、本当に特に悩みがないよ」
ハリーは感慨深げに、しかし少し皮肉を込めて同調した。
「あら、あなたの人生でそんなときが来るとは思わなかったわね」
ジニーはくすりと笑っていう。
「アルバスが元気なのもスコーピウスのおかげよね、きっと」
ハリーは頷いた。
「この前、腕を怪我したとき、聖マンゴに行ったんだ、ほら、あの、ハナハッカで治らなかったとき」
ジニーが、覚えているわ、と、頷く。
「そしたら、その時の担当の癒者がドラコだったんだよ」
「そういえば彼聖マンゴに勤めているんだったわね。何か話した?」
「スコーピウスとアルバスの話を少しして、今度飲みに行く約束をしたんだ」
ジニーは驚いていう。
「あら、友達になったの?!」
「いや、そういうのではないと思うんだ、いろいろあったからね、セクタムセンプラとか…」
ジニーは昔に想いを馳せる。
「あれがなかったら私、あなたにキスしなかったと思うわ。だってあなたはクィディッチに出たでしょうし。少なくとも、あんな大勢の前ではね」
ジニーはいたずらっぽく笑う。
その笑顔にフレッドの面影を感じて、胸がキリリと痛んだ。
「やめてくれよ、恥ずかしい」
ハリーは笑う。
「でも、彼はダンブルドアを殺せなかったし、ベラトリックスから僕を守った。僕らは彼らの命を救ったしね。少しずつ水に流しているよ」
「私は水に流していないわよ!」
「何をだい?」
「あなたの瞳は蛙の新漬けのよう〜♪を馬鹿にしたじゃない!」
ハリーは2年生の時のバレンタインにジニーに貰ったカードを思い出した。
「あの時の僕たちとアルが同い年なんて、不思議じゃないか?」
アルバスは今2年生、ジェームズは今3年生だった。来年はリリーもホグワーツだ。
「そうね。小さなフレッドもジェームズと同学年だしね」
ハリーはジョージとアンジェリーナの長男の顔を思い浮かべた。とてもジョージに似ていて、大の悪戯好きだ。
「全く、フレッドがジェームズと同じ部屋じゃなければジェームズもいくらかおとなしかっただろうに」
全くその通りね、相槌を打った妻の声が眠そうなのに気づいて、軽いキスを交わして、ハリーは目を閉じた。