第1章 19年後 クリスマス
Harry side
家からすぐの空き地に姿現しすると、ハリーは家路を急いだ。
今日はハリーの2人の息子、ジェームズとアルバスがクリスマスで家に帰ってくる日なのだ。
本当はキングズクロス駅にまで迎えにいくはずが急きょ逮捕者が出たために遅れてしまった。
見慣れたドアを開けて家の中に入ると、次の瞬間ハリーはびしょ濡れになっていた。闇払いの反射神経で杖を抜く。
ジニーが叫ぶ。
「ジェームズ!アル!いい加減にしなさい!」
これはきっと家に帰ってくる父親を迎えようと、2人が仕掛けたいたずらだったのだろう。
ハリーは杖をしまって思わずニヤッとした。
「おかえりジェームズ、アルバス」
ハリーは2人を抱きしめる。
「やめてよパパ、びしょ濡れじゃないか」
「お前がやったんだろう」
「ハリー、夕食ができるわ。着替えてきてちょうだい。ジェームズ!」
ジニーがまた叫ぶ。でも、妻の声の裏に笑いが隠れていることはきっと夫のハリーだけが気づいたことだ。
ジェームズを見ると、彼は「臭い玉」を爆発させようとしていた。
「これから夕食なんだから!」
久しぶりに賑やかなキッチンを後にして、ハリーは1人で笑う。
こんなに満たされた気持ちになるのは2人が帰ってきたからだけではないとハリーは知っていた。
家族で1人だけスリザリンに組み分けされたアルバスが、家族の中で引け目を感じず、自分に閉じこもるのをやめ、ホグワーツに入学する前のようにジェームズといたずらをするようになってから、ポッター家は幸せに満ちていた。
ハリーはため息をついた。
幸せすぎて、ため息が出た。