第3章 ホグワーツの戦い
ダンブルドアは泣いていた。
「わしは間違うてなかったんじゃ…」
呟くように言った。
「17歳の若者にあんな試練を課すのは酷だったかと思うた時もあった。」
そしてにっこりした。
「しかしハリーはわしが思ったよりもずっと勇敢で気高く、そして真にリリーとジェームズの子で、真にシリウスの名付け子じゃった!」
リリーは大きくにっこりし、ジェームズは涙を隠すように目を瞬いた。
シリウスは、本当にハリーを自慢に思った。
ハリーが世界を救ったのだ。
そして、何より、ハリーは生き残ったのだ。
一方、スネイプはリリーを見つめていた。その目にはうっすら涙が浮かんでいるようにも見える。
そういうことだったのか。シリウスは1人合点してにやりとした。ジェームズは嬉しくないだろうな。
リリーはリーマスとの久しぶりの再会を喜び、そしてリーマスの死を悲しんだ。
トンクスは憂いの篩を覗き込んで、テディの様子を見ていた。テディの髪がちょうどブロンドからブルネットに変わるところだった。
あの子なら大丈夫。そう口が動いているように見えた。
シリウスは従姉妹の隣に行って座った。
「かわいい子だな、トンクス。ハリーが名付け親だって?」
「そうなの。でも、テディは私の両親が育てると思うわ。普通はそうだろうしね」
「ハリーが家庭を持ったら、夕食に招くかもしれないな」
そう言ってシリウスは嬉しくなった。
遂にハリーは本物の家族を得ることができるのだ。いつになるかわからないが、もうハリーは何にも縛られていない。
ハリーはきっとこれからも特別であり、選ばれし者であり、生き残った男の子であり続けるだろう。
しかし、何の使命も帯びていない普通の人としての人生がハリーを待ち受けていると思うと、シリウスは心が浮き立つのを感じた。