第3章 ホグワーツの戦い
ベラトリックスは、目を一瞬カッと見開いて、ゆっくり仰向けに倒れた。
ママは息も荒くそこに立っていたが、しかし無傷だった。
ジニーはほっと息をついた。
しかし、ヴォルデモートがママに杖を向けた。
ジニーは危ない!と叫びたかったのに声が出なかった。時が止まったようだった。
その時だった。
「プロテゴ!守れ!」
よく聞きなれた声が聞こえた。
誰かがそこに立って、ヴォルデモートからママを守るために盾の呪文をかけていた。
ハリーだった。
ハリーが生きていた。
近くでハーマイオニーが嬉しそうにため息をつく。ロンが感嘆したような声を上げる。
みんなが喜びの声をあげた。
ジニーはまた何も言えなかった。
ハリーが生きていた。
胸に暖かいものが広がるのを感じた。
自分がハリーをこんなにも愛しているという事を忘れていた。
ハリーは生きている!
ハリーとヴォルデモートが今にも決闘しそうだというのに、ジニーの心は晴れていた。
それからのことはよく覚えていない。
ハリーとヴォルデモートがみんなの注目を浴びながら話していることの半分も聞いていなかったし、意味も分からなかった。
ハリーとヴォルデモートが杖を上げた時、ジニーはただ祈った。しかし、どうなるかもうわかっていた。
ハリーは今でも生き残った男の子であり、選ばれし者なのだということを。
ヴォルデモートが死んでゆっくり仰向けに倒れた時も、みんながハリーに駆け寄る中、ジニーは立ち尽くしていた。
どうやってここまでこれたのか、ロンとハーマイオニー以外誰にも分からなかったし、ジニーも分からなかった。
でも…。それを知る時間は、これからたくさんあるだろう。
それだけではない。
ヴォルデモートはもういない。だからやってくるはずだ。
1年前校庭の隅で過ごした時間のような、2人の素晴らしい時間が。
きっと何日も、何ヶ月も、もしかしたら、何年も。