第2章 19年後 ロンの失敗
「悪かったよ」
しばらく歩いたところでロンが言った。
「子供達のことを忘れて飲み屋にいるなんてさ」
ハーマイオニーはもう怒っていなかった。それに、11歳で出会ってから山ほど喧嘩して山ほど仲直りしてきたはずだった。なのに、こういう時なんと言えばいいのか未だによくわからなかった。
「もういいのよ。私もイライラしてたわ」
ハーマイオニーは言った。
ロンがホッとしたように、ぎこちなく微笑む。
ハーマイオニーも微笑み返す。
「変わらないわね、あなたも私も」
「それもそうだな」と言ってロンは立ち止まった。
「帰ったらいなくて心配したよ」
ハーマイオニーは申し訳なく思った。
「ごめんなさい。バカなことしたわ」
「いや、僕が言いたいのはそういう事じゃなくて…。
君がいない家を見て、なんて寂しいんだろうって思ったんだ。僕が君にプロポーズしたのはだいぶ昔のことだけど、あの時の選択は間違ってなかったみたいだ。」
ロンは早口で言った。
「君と結婚してよかったよ、ハーマイオニー」
ハーマイオニーはにっこり微笑んだ。
「わかってるわ」
ハーマイオニーは空を見上げた。とても星が綺麗で、ロンはこれを見せるためにここに連れてきてくれたんだとわかった。ロンは決して言わなかったが。
そして2人はどちらともなく姿くらましをして、家に帰った。