第2章 寒地にて
どれくらいそうしていたのか、フと気がつくとチラチラと雪が降り落ち始めていた。男が言った、小鳩の産毛のような真白い雪だ。
私は見慣れないことにじっと息を詰めた。積もっている雪は車窓飽きる程見て来たが、降り落ちる雪を見るのは初めてだ。
小鳩の産毛のように、真白い雪。
私は雪を眺め、お茶を呑みながら、しみじみと白菜をかじった。
どういうわけか、男の糸のように目を細めた人のいい、しかし何処か利かん気な笑顔がぽっと浮かんで消えていった。
雪は次第に激しくなって、どうやら男の言う通り吹雪になりそうだった。