第19章 加速する輪舞曲
「「やだー!ねぇねといっしょがいいー!」」
「静かにしぃ!アンタ達そねーにお姉ちゃんを困らせてどうすっとね!」
果たして子供にその言葉の意味が分かるんだろうか、と思ったけど子供達はピタリと泣き止んで大人しくなる。
一同「凄…」
『一応、今日の分のご飯とおやつは作り置きしちょるけぇ。お母さんも通常運転やしひょっこり帰って来ると思うんやけど怒らんとって』
「…はいはい。あ、そうそう、これ皆で食べぇ」
一同「!」
「ウチの姪の事、宜しくお願いします」
「「「こちらこそいつもお世話になってます」」」
「んまっ!随分と礼儀正しい子達たいね。これなら安心」
姪って事は智桜姫から見ると叔母にあたる人なのか。細身でスラリとした綺麗な女性だ…と思ってるとバスが到着する。
『じゃあ後はお願いします。二人共良い子にお留守番しててね、帰ったらいっぱい遊んであげるから』
「「はーい…」」
涙ぐむ子供達の頭を撫で回す様子は何処からどう見ても母親の様だった。
※※※
多分皆聞きたい事は沢山あるだろう。でも何かを察してるのか何も聞いてこない。ただ一人だけ素直で正直な子はそんな空気をぶち壊してくれるんだけど。まぁ話して困る様な事でもないし。
「あの子供達は妹さんっすか!?」
「うん、末の二人。甘えん坊で困ってるの」
「お母さんじゃなくてお姉ちゃんに甘えるんすね!」
『あー………ウチ基本、母親居ないから』
一同「!?」
ただ皆からの見る目が変わる様だったら少しツラいけど。
『離婚して母親だけなんだけど、女手一つで子供六人育ててるから働きっぱなしで家にあまり帰って来なくてさ』
果たして働きっぱなしかどうかは定かでは無いけども。
『合宿の事も行って良いよーって承諾得たんだけど多分仕事忙しいのか昨日一昨日って帰ってなくて。多分今日も帰って来ないなって第六感が言うから昨日叔母にヘルプを出した感じ。んでわざわざ田舎からこっちに来てもらったの』
叔母も家の事あるのにいつも助けて貰ってるから本当に申し訳無いんだけど…寧ろ従姉妹に申し訳無いってゆーか。
『あぁ、そんな顔しないで!全然重い話じゃ無いから!今のご時世よくある話でしょ?』
※※※
と智桜姫は笑い飛ばす。