第16章 飛び交う交声曲
プリント届けたりとかお勉強したりとか課せられた任務もあるしその任務が無くなるまでは…
勿論気持ちを伝えるつもりも無いし、態度に出すつもりも無い。だからあくまでもクラスメイトとして、部活仲間として、友達として、を貫かなければならない。
「では今日はここまでにするか」
「やったー!」
『数学と英語しかしてないけど…』
「まだ期間はあるから問題無いだろう。それに昨日は弦一郎だ。絞られたんだろ?」
「うぅ…そうなんすよ…家に帰ったら夜でした…」
真田君ならやりかねないなーと思いながら図書室の角で広げていた教科書や参考書を片付ける。
「明日は俺と弦一郎だ。しっかりやるから予習と復習を忘れたら駄目だぞ赤也」
「はいっす!」
「智桜姫」
『ん?』
「寄ってから帰るのだろう?宜しく伝えといてくれ」
『うん…分かった…』
何だろう?最近このパターン多くない?
※※※
そして時間と言うものはあっと言う間に過ぎる。長かったテスト期間を終え、恐怖のテストも終了した。そして最も恐怖なテスト返却が放課後に纏めて行われる。因みに順位発表はもう昼休みにされていて、まぁ上位を占めるのは前回のテストの上位者達。
「おー姫さん。テストの結果どうじゃった?」
廊下側の窓際の席のアタシは部員達が通る度に声をかけられる。窓から顔を覗かせるのは仁王君。今日から部活も開始されるから肩にはテニスバックをかけている。
『良好』
「オール満点じゃと!?敵わんのぅ…」
『まぁね』
「赤也はどうだと思う?」
勉強見てたじゃろ?と含みのある笑みを浮かべる。
「順位は中間よりだいぶ上がったと言うとったのぅ…」
『じゃあ問題無いんじゃない?』
だって四人がかりで教えてたんだもの。これで赤点取ってたら正直、アタシ達は役立たずになってしまう。
※※※
緊迫感に包まれる部室。答案用紙を持ったまま何も言わない赤也に全員が緊張感を張り詰める。
「あの…俺…こんな点数生まれて初めてで…」
-バァン-
と部室の机に答案用紙を叩き付けて広げていく。
「英語と数学が60点越えたの初めてなんす!他のだって高いのだと80点有りますし!こんな好成績出したの初めてっす!!」