第2章 運命の助奏
「我々も次の駅で降りよう。妊婦さんに何か有ってはいけない」
「そうじゃな。どうせ次の駅が目的地じゃし」
言い争いを耳にしながら1分後には次の駅に着いた。
※※※
「あの…!私は大丈夫ですから!」
『大丈夫な訳無いじゃないですか!』
「まーあ?大丈夫だとしても俺等はコイツの事シメないと気が済まないけどな!」
「やめて下さい!女の子に暴力だなんて最低だと思わないんですか!」
「はあ?」
※※※
「あ!いたっす!多分アレっす!」
赤也が指差す方向に人混みを掻き分ければ、3人の学生と妊婦さんを背後に隠す小さな女の子が対峙していた。
「………?」
あれ…?あの子は確か…
「ってアレ!!3年の先輩達じゃないっすか!?」
「ほんまじゃき」
「あのチェックのスカートは確か…」
※※※
「この…!女のくせに!!」
「きゃっ…」
先輩が腕を振り上げた瞬間だった。
-ちょんっ-
-スカッ-
「うわっ!?」
-びたーん!-
素早く回り込んで足を引っ掛けると顔面から盛大に転んだ。一瞬何が起こったのか理解するのに少し時間がかかった。
『やっだーカッコわるーい』
「…んのっ!!!」
-ぱしっ-
-くるっ-
-びたーん!-
一同「………」
今度は背負い投げ…?
『喧嘩の仕方知らないのに喧嘩吹っ掛けるなんてお山の大将もいいとこですね』
「このっ…「先輩、何なさってるんですか?」…!?」
「先輩方、外部受験なさるんですよね?いいんですか?こんな事しておいて」
「「「ゆ…幸村!?」」」
『!』
※※※
それからと言うものヤンチャな学生達は彼等を…いや、恐らく彼を見てからコロッと態度が変わり慌ててその場を去って行った。
「あの…すみません、有難う御座いました」
「いえ、こちらこそすみません。ウチの生徒なんです」
「妊婦さんってこんなにお腹大きくなるんすね!」
「止めんか赤也!」
と賑やかに和む駅のホーム。雑誌で見た事あるから知ってるけど、実際に見ると凄く貫禄ある人達だな。同じ中学生とは思えない。
「君も大丈夫?怪我とかしてないかい?」
『ぅえ!?あ、はい!』