第2章 運命の助奏
あまりにも綺麗に微笑むものだから、つい見蕩れて緊張して声が上擦ってしまった。むぅ…何か色々恥ずかしくて顔、上げられない。
「………、いつも」
『?』
「あの時間帯の電車に乗ってるの?」
あ…知っていてくれたんだ。
『はい。1ヶ月くらい前にこの界隈に引っ越して…電車通学なので』
(一月前から…幸村の機嫌がいいのも一月前…)
(早朝にしか発見出来ない可憐な花…)
-ピコーン-
「「なるほど!」」
「柳、仁王」
『?』
え?何何?何だろ?からかわれて照れてる?こんな顔もするんだ。
-ヴヴヴヴヴ-
『…!しまった!忘れてた!』
一同「!?」
保育園から着信…!もう迎えに行く時間過ぎてるし!色々あってすっかり忘れてたし、喧嘩売られて気にしてなかったけど此処の駅は…
『良かった、最寄り駅だ…ごめんなさい!アタシ急いでて………お姉さん、病院とか行く予定でした!?大丈夫ですか?』
「ええ、帰りがけだから大丈夫。この駅まで旦那に迎え来てもらうし」
『なら良かったです。巻き込んでしまってすみませんでした』
「そんな事無いです。助けてくれて有難う御座いました」
『皆さんも迷惑かけてしまってごめんなさい。またお会い出来たら必ずお礼します!!!』
-バタバタ-
※※※
「嵐みたいな子…じゃな」
凄く大人しそうな子だと思ってたけど、意外と正義感強かったり…でも何処か気にしぃだったり。もっと意外だったのはちょっとハスキーな声。あ………名前聞くの忘れてた。
「すっごく小さくて可愛らしい感じの子だったすね!何処の学校なんだろ?学年とかも気になるっすね!」
「あの制服は氷帝、だな」
あぁ、そうか。氷帝だ。だから見た事ある色合いなんだ。
「学年かぁ…3年は無いだろうなぁ…あのサイズ的に」
「制服着てなかったら小学生でも通りそうだし1年じゃね?」
確かに小さいし童顔みたいだけど…多分あの子は俺達なんかよりずっと大人な気がする。じゃないとあんな悲しそうな目で海を見ない。
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